2013年11月23日土曜日

母語の習得と母親の役割

母語についてはかなりのことがわかってきましたが、それでもまだまだ分からないことがたくさんあります。
小学校に入れば学習言語を習い、その学習言語がに日常に使用される第一言語になっていくことは分かっていました。(参照:ここまでわかってきた「母語」

それなのに、何故その前に違う言語が存在し、しかもほとんど記憶に残っていかない言語が母語として習得されていくのでしょうか。
母語の習得を通じて人間形成のための基本に影響することが少しずつ分かってきました。
学習言語の習得だけでは説明のつかない個性や感性の違いが、母語の習得過程において身についてきていると言われています。



母語の習得過程で一番大きな役割を果たすのが母親です。
ほとんどすべてのことが母親より伝承されていると言ってもいいくらいです。

母語は目に見えるものとしては言語として扱われますが、そこには言葉に含まれる感性や言葉が持つ歴史も伝承されていくものと思われます。
方言や言い回しなど母親が持っている言葉を直接的に習得するとともに、その言葉の持つ背景や感性も伝わっていくものと思われます。

それは音で聞いて真似ることはもちろんですが、幼児が言葉としては理解できないころより五感を通して伝わる様々なものによって習得しているものと考えられています。


幼児は2歳前後になると言葉の噴火や爆発と呼ばれる、一気にたくさんの言葉を発する時期を迎えます。
これは、言葉を発する技術を身につけてたためであって、一気にそれだけの言葉を覚えて使えるようになったわけではありません。
使える言葉の前には、理解できている言葉を何十倍か持っていると言われます。
母親によって伝承された言葉です。

幼児は社会性や自他の区別がつく4歳頃までは、すべて母親を経由して情報を収集していると言われます。
母語が習得できる期間が4歳くらいまでと言われています。
つまり母語の習得はすべてが母親からなされていることになります。

3歳くらいになりますと母親以外の人とも会話ができるようになりますが、そこで得た情報は必ずと言っていいくらい、母親に確認をする行動をします。
幼稚園の年少組の子たちは、家に帰るとお母さんに一生懸命今日やったことを話します。
お母さんの反応によって、はじめて自分に受け入れることをしていきます。
個人差が大きな時期ですが、小学校の入学前までくらいは続くようです。

お母さんが周りの人と話していることも、お母さんを通して感じています。
一緒に住んでいる家族についても同じですね。
お父さんや兄弟、祖父母を認識できるのは3歳頃からですが、直接受け入れができるまではまだまだ時間がかかります。
父親の出番はだいぶ先になりますね。


この時期に一番大切なのはお母さんの心の安定です。
幼児は特にお母さんの感情の起伏に敏感です。
自分にとって一番心地よい母さんの鼓動をわかっています。
一番安心できるお母さんの状態をわかっています。

五感で感じています。
この五感の実際の機能を決めていくのも、母語の影響なのです。
更には、幼児期の脳の機能をも母語が決めていきます。
言語としての母語の習得は2歳から4歳くらいと言われていますが、言語以外のことを考えると生まれた瞬間から、またはその前からか始まっていると思われますね。


この時期のお母さんは大変です。
とくに初めての子供ですと、すべてが初めてのことであり日々が不安との同居となります。
そのお母さんの不安は確実に子供に伝わります。
やることもたくさんあります、時間もすべて子供時間に合わせないといけません。
日々寝不足です、今までの生活とはリズムが全く変わってしまいます。

一番大切なことは、心穏やかな状態で子供と一緒に子育てを楽しむことです。
周りの人たちが直接子供と接しても、役に立つのは子供が相手をわかり始めてからです。
せいぜい2歳くらいからと言えるでしょう。

それまではお母さんがいつも心穏やかに子供に接することができるように、家事や子育てに関する作業で協力してもらうことです。
この時期にお母さんが子供に接する時間が少ないと、感情の安定しない子供になることは既に知られていることです。

特に3歳までは子供に直接接するのはお母さんだけでもいいくらいだそうです。
そのお母さんを手伝っている人のことは、母親を通じてきちんと子供には伝わっているようです。



母語という特別な具体的な言語が存在するわけではありません。
使い方が規定された学習言語とは全く別な言語です。
4歳くらいまでに身につけて、学習言語の習得までの人間形成の基礎となる言語のことを母語と読んでいるということになります。

お母さんのことばや感覚がひとりずつ違いますので、こどもの習得した母語も一人ひとり異なるものです。
兄弟であっても、それぞれ伝わり方は異なりますので、きわめて個性的な母語となります。

学習言語だけでは、個人の個性や感性の差の大きさについての説明はできないそうです。
学習言語の以前に、もっと大きな個人的な感性の差がないと説明がつかないそうです。

幼児期の英才教育の弊害は広く知れ渡ることになって、いまさら自分の子供に英才教育を考える人はいません。
そうはいっても、
近いことはあちこちで行われています。
お受験対策や幼児英語教室などはそのいい例と言えるでしょう。
これらが母語の習得を阻害することもわかってきました。

母語を習得することは幼児期に備わっている本能ということができるでしょう。
何にもしなくとも、それぞれの環境において子供は母語を習得していきます。

しかし、その母語によって脳の機能や個人的な感性がある程度決まってきてしまうことになります。
学習言語の習得度合いが母語によって影響されることもわかっています。

そうなれば、なるべくしっかりした母語を習得させておくことが親の務めとなります。
しっかりした母語とはどういうものになるかは、また別の機会に触れたいと思います。
母語は教え込んで身につくものではありません。
それだけに環境をつくることが大切になりますね。