2013年11月26日火曜日

共通言語としての「現代やまとことば」

日本語の数ある特徴の一つに、表現力の豊富さがあります。
これは表記文字として、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットの4種類を持っていることが大きな要因です。

表現する場面や伝えたい相手に応じて、同じ内容でも様々な表現が可能になっています。
更には独特の特徴として敬語という表現もあります。

TPOによる表現の使い分けのことを語感と呼んでいますが、職業や年代、メディアによって様々な語感が存在します。
符丁のような業界独特の表現まで入れると、まさしく無限の表現が存在します。

広い意味ではすべて同じ日本語です。
方言から専門用語、略語までを含めてもすべて日本語です。



ひとりの中においても、場面や相手において表現を使い分けています。
また、
使っている言葉も一人ひとり使い方が微妙に異なります。

物を見ても一人ひとり見方が異なります。
同じモノを見ても、理解の内容は異なります。

それを表現するときはさらに言葉の選び方や使い方が異なります。
同じ表現は存在しないと言ってもいいのではないでしょうか。


同じ日本語なんですが、受け取る方からしたら外国語のように聞こえるものがありませんか。
確かに日本語なんですが、何を言っているのかわからないことはありませんか。

あまりにも表現力が多彩ですので、言いたいことが素直に伝わっているかどうかは微妙なところがあります。
生活している環境が同じ人同士は、自然に語感も同じようなものになっていきますので、言葉の使い方も似通ってきます。
これが長くなれば、それこそ以心伝心や一を聞いて十を知ることも可能になって来るでしょう。

一般的な生活からかけ離れた環境で過ごす時間が多い場合は、その中での語感が中心になってしまい、一般的な語感から遠ざかっていくことがあります。
役所の本省の事務方や特殊な分野の研究所が職場で、仕事一辺倒の場合は特にこの傾向が強いですね。

そうなると、普通に使っている言葉自体が職場の語感に影響されていってしまうことが起こります。
新卒でその職場が長いと、あっという間に職場の語感になってしまうようです。

実際に使っている言葉自体は日本語ですから、その意味することろはほとんどの人が理解できるはずですが、その内容はかなり違っているものと思われます。
更に言葉が重なりますと、言っている方と聞いている方の理解のズレはいたるところで起こっていることだと思われます。

 

日本語の一番基本にある言葉はひらがなです。
すべてをひらがなでやり取りすれば基本的な理解のズレはかなり解消されると思われます。
ところが、ひらがなは曖昧なことを表現することにはとても優れていますが、具体的なことを表現するには漢字の方がはるかに優れています。

現代日本語の標準表記方法が漢字かな交じり文であることは、両方のいいとこ取りをした素晴らしい方法です。
表意文字である漢字と表音文字であるひらがなを組み合わせて表現する言語は、世界広しといえども日本語だけです。

ひらがなで表現すると分かりやすくなることは誰でも感じていることだと思いますが、いざやろうとするとなかなかなできません。
ひらがなの位が一番低いので使うのに抵抗があるのですね。

漢字で書ける言葉をわざわざひらがなで書くことは、書くことを商売としている人くらいです。
普段の生活の中ではまずやらないことだと思います。

漢字の方がひらがなよりも地位が高いのですね。
漢字が思いつかない時にひらがなで書くことは、恥ずかしさを伴いますね。


ここがヒントです。
分からなかったり、分かり難かったりしたらひらがなの力を借りるのがいいですね。
ひらがなばかりが並ぶとさすがに恥ずかしいものです。

そこで「現代やまとことば」の提案です。
漢字の訓読みをたくさん使いましょう。
訓読みも漢字ですのでかなり具体的な意味を伝えてくれます。

同じ「かく」でも、「書く」「描く」「掻く」「画く」「欠く」などとあるわけですから、そのイメージは遥かに具体的になります。
また、漢字の訓読みはほとんどが動詞と形容詞になりますので、動作や状態をひらがなよりも具体的に表してくれます。

もともとの「やまとことば」はすべてひらがなですが、現代では使われていないものや意味の変わってしまったものがあり、使うには難しくなってしまっています。
漢字の訓読みと現代使いのひらがなによる「現代やまとことば」は現代の共通言語になるのではないかと思います。

あまりにも表現の仕方としての語感が多すぎるために、同じ日本語でもズレが出てきている現代では共通言語が必要ではないかと思っています。

外国の人に日本語を教えるときも、「現代やまとことば」を中心にしたらいいのではないかと思います。
迷った時に言葉にしても、文字に書いてもお互いに分かるのではないでしょうか。

「現代やまとことば」いいと思いませんか?
ご意見、コメントをいただけるとうれしく思います。