2013年11月5日火曜日

ハイブリッド発想と得意分野

ハイブリッドという言葉が定着してきました。


一時はハイブリッド思考などという言葉がありましたが、今では電気自動車への過渡期ととしての、ガソリン・電気併用車の名称として広がっている。

ハイブリットの意味としては2つ(またはそれ以上)の異質なものを組み合わせて、違った目的のものを作り出すことを言うようです。

もともとの由来はラテン語でイノブタ(イノシシと豚を掛け合わせて作った食用の家畜)を表す言葉であるhybrida(ヒュブリダ)であると言われています。



これの「ハイブリッド」を、日本語にするために大変に苦労した跡が伺えます。
「混成」などという言葉を当てたこともあるようですが、定着しませんでした。
漢字でひとことで表すのは難しそうです。
意味するところをしっかりと説明できるならば「ハイブリッド」という言葉をそのまま使うのが適しているように思合われます。


このハイブリッド発想で注目を集めた日本の商品が沢山あります。
ラジカセ(ラジオ+カセットレコーダー)や消しゴム付き鉛筆はあまりにも有名ですが、自動車の原動力としてのガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせは、その典型ということができるでしょう。
シャープペンとボールペンの一体化もありますね。


携帯電話にカメラ機能を搭載したことによって、元からあったメール機能が更に生きることになりました。
写メールというひとつの文化ともいえる活動を生み出しました。


膨大な研究費や時間を必要とする基礎研究と異なり、ハイブリッド発想は既にあるものの組み合わせですから、コストをそれほどかけずにできます。

膨大なコストをかければ、膨大な回収をしなければなりません。
国が行っているとしても、その回収は税金という形でしなければなりません。

コストは少ないに越したことはありません。

ハイブリッド発想はなるべくコストをかけずに、現実的なアイデアを出すのに最適な方法と言えるでしょう。


新しい技術が求められている時で、そのためのコストが大きくなりすぎることが予測できることがあります。
電気自動車がそうでした。
電気だけで機能させるためには、巨大なバッテリーという物理的な課題と技術的には可能であっても莫大なコストがかかるという課題がありました。
その時に、既存技術のガソリンエンジンと組み合わせることによって、電気モーターをコンパクトにし、しかも補助的に使う性能に抑えたことによってハイブリッドカーが現実化したのです。

 

ハイブリッド発想のために大切なことは、しっかりとした得意分野を持っていることだと思います。

得意分野のことについては、平易な表現で説明できることが大切です。
これができないと周りのサポートが得にくいからです。
得意分野について平易な表現に発信することによって、周りからの様々な反応をもらうことができるからです。
組合せ相手を探す時に周りに情報は大きな力になります。


ハイブリッド発想の最初のキーは、すべて得意分野の結びつけてみることから始まります。
無理やりでもいいのです。
一つ目のモノを何らかの形で得意分野に結びつけて認識しておくのです。

このことによって、得意分野の幅がぐっと広がります。
無理やりにでも結びつけることによって、発想が柔軟になり観点が広がります。


次にハイブリッドのもう一つの対象となるものを見つけます。

これは比較的的簡単にできます。
無理やり得意分野の結びつけた一つ目のモノのどんなささやかな機能でもいいので、機能に注目します。
そして、
その機能の反対の機能を見つけます。
ここで見つけた機能同士を組み合わせてみるのです。

 

実例で考えてみましょう。

私は言語について研究しているとしましょう。
得意分野は言語の習得についての教育としておきましょう。

ラジカセであてはめてみます。

言語について専門ですので、ラジオは大切な情報ツールで、大切な番組は聞き逃すことができません。
私にとってのラジオの機能の一つに、様々な言語に触れる機会を与えてくれる情報源であることがあります。

この機能はフローとして流れていってしまう情報です。
フローの反対としてこの情報をストックする機能を考えます。

オリジナルの情報として発せられるフロー情報を、録音してストックの情報として利用することが同時にできる機能が見つけられることになります。

このことは、ラジカセだけではなく、携帯電話の通話録音機能や言語習得のリピート練習に生かされていくことになります。


私たちが求めているものは、日々の不安を解消することであり、より便利に生活することです。
そのために、
今あるもの同士を組み合わせて、さらに不安解消にの役に立ったり、便利にしたりすることは充分可能なことです。

人の生活がきわめて多様になってきていますので、不安や求める便利さは数限りなく存在しています。


もともと日本人が得意であると言われる「ハイブリッド発想」は、得意分野があってこそ生かされるものだと言えると思います。
何でも得意分野に結び付けて理解してしまうことは、得意分野を強化する一番の方法だと思います。

一人ひとりがそれぞれの得意分野を持っていれば、そこから得られるハイブリッド発想のためのネタは無限にあるのではないでしょうか。