「母語」を一番意識しなければならないのは、幼児期前半のお子さんのお母さんたちです。
ほぼ4歳までの間でどのような母語を身につけたかによって、人生の基本的なことが決まってしまいます。
もう少し正確に表現すると、幼児期に身につけた母語によって開発された知的機能によって、人の知的活動の基本的な部分が決まっているということです。
そんな大切な「母語」について理解してもらおうと努力をしてきましたが、「母語」だけについて伝えても駄目なことがわかってきました。
「母語」とは母国語と同じように実態のつかめない概念です。
「これが母語です」と目の前で見せることができないものです。
しかも、どのような影響を与えるのかを実感できないものです。
自分ですら実感できないものを人に伝えることは本当に難しいことです。
したがって、「母語」を説明するときに一緒に考えておくべきことをセットにしました。
- 言語習得の段階と「母語」の役割
- 幼児期の避けられない現象としての「幼児期健忘」
- 良いと言われている絵本の読み聞かせの落とし穴
- 日本語の圧倒的な特徴と「母語」として日本語を持つこと
- 幼児期の言語発達のサインについて
「母語」について語れば語るほど理解されにくくなっていることを感じていました。
このセットを4月から販売することにしました。
特に、初めての子育てママ向けに失敗しない幼児教育の方法として打ち出します。
(参照:初めての子育てママのための、失敗しない幼児教育)
このページで、3月いっぱい無料のモニターを10名募集します。
フルセットを体験していただき、アンケートに答えていただくだけです。
動画撮影用のセミナーにも無料招待いたします。
小さなお子さんをお持ちの方やお知り合いがいらしたら、ぜひ案内してあげてください。
いろいろな方の意見をいただきたいと思っています。
もともとがきわめて抽象的な概念である上に、特に意識しなくとも自然に身についているものですので、「母語」だけで理解するのはとても難しいこととなってしまっていました。
日本人として日本語を母語とする両親のもとに生まれ、意識することなく母語として日本語を身につけ、さらに学習言語・第一言語として日本語を身につけてきた私のような者には何で「母語」なんて考える必要があるのかと思ったくらいです。
友人に幼児期をシンガポールで過ごした者がいます。
ベビーシッターがついて、そこそこの英語とカタコトの日本語が使えたようです。
家庭での母親の言語は日本語がメインだったようですが、父親や家庭内の会話では英語が飛び交っていたそうです。
小学校2年の時に日本の小学校に編入してきました。
彼がバイリンガルとして活動できるようになったのは大学以降のことだそうです。
それもようやく、自分のなかでの日本語と英語の言語感覚の違いに折り合いをつけてからのことだそうです。
小学校ではもちろんのこと、中学や高校ですら、日本語も英語も両方とも周りの人間と言語の感覚が違うことに苦しんできたそうです。
ノイローゼやうつ病に近い状態もあったそうです。
心療内科にも通ったそうです。
親を含めて、周りの人間にはまったく理解できないことで、発達異常ではないかとも疑われたそうです。
彼の母語は、日本語との英語の混ざり合った世の中にない言語となっていました。
しかもどのような混ざり方をしているのかは全くわかりませんので、どっちの言語感覚がどっちの言語を使っているときに出現するものなのか全くわかりません。
彼の経験談によれば、ほとんどの場合に使っている言語の反対の感覚に襲われるようです。
自分でも原因がわからなかったので、周りの人と違う感覚になっていることを知られないように振る舞うのにとんでもない苦痛を味わい続けたそうです。
現在では、自分になかで折り合いがつけられていますので、苦しむことはなくなっているのですが、感覚的に素直に従えないこともあるようです。
幼児期に英語を教え込むことは、彼と同じ感覚を植え付ける可能性があります。
それにもかかわらず、幼児の英語教室は流行っていますね。
本当に大丈夫なんでしょうか?
大丈夫なわけないですよね。
母語から始まって、学習言語としての日本語の基礎が身につくのが10歳頃だと言われています。
今の小学校の英語の授業は5年生から始まっていますね、これを3年生からにする動きが広がっています。
日本語がどんどんおかしくなっていくわけですね。
世界に誇るスーパー言語である日本語は、世界から見ても注目されている言語です。
(参照:気づかなかった日本語の特徴)
言語学者の中には、自分の子どもの母語を日本語にしている人までいます。
もっと日本語について自分たちが知っておく必要がありそうですね。