2014年4月15日火曜日

春のことば(2)

桜の木も緑の葉が目立つようになって、すっかり春が濃くなってきました。

今回は、先回の早秋の「春のことば」に続いて、晩春の春を表す言葉を集めてみました。

さすが日本語ですね、何とも言えない表現です。


清明(せいめい)
二十四節気のひとつ。春分から数えて十五日目(4月5日ごろ)に当たります。
この清明は、清浄明潔(せいじょうめいけつ)の略で万物が清明(清く、明らかなこと)になると考えられていました。

穀雨(こくう)
二十四節気のひとつ。4月21日ころに当たります。
百殻を潤す春のあたたかい雨が降り、穀類の芽が伸びてくる頃とされています。
このころになると、フジやボタンも咲き始めて、野菜も芽が伸びて葉を育てる頃となってきます。
この日から約二週間後が立夏となり、暦の上では夏になっていきます。

残花(ざんか)
満開の桜が散った後に残った花のことです。
「名残り花」や「残る花」などとも言います。
花見の時期が終わったと思っていたころに出会う桜は、いかにも名残りの雰囲気がするものですね。
同じような意味で「余花」(よか)や「遅桜」(おそざくら)などと言った表現もあります。

花筏(はないかだ)
とんと見なくなってしまった筏の川下りですね。
川に散った桜の花びらが密集して、筏のように途切れることなく続いていく様を表現したものです。
川や用水路に帯を作りながら流れていく桜の花びらは、満開の華やかさとは別のはかなさを感じさせてくれますね。
筏を見ることもなくなってきた今日では、やがて消えていく言葉なのかもしれませんね。


朧月(おぼろづき)
春の夜、水蒸気を多く含んだ空気を通してみた月がぼんやりとかすんで見える様を表現したもの。
春の煙るような雨が多く降るときに、水蒸気を含んだ空気の様子を表す言葉がたくさんあります。
夜は「朧」(おぼろ)ですが同じ現象の朝から昼に賭けては「霞」(かすみ)となります。
これが秋になると「霧」となります。

陽炎(かげろう)
地面にたまった水蒸気が、暖かい空気によって立ち上っていく時に透明な炎のようにゆらゆらと揺らめいて見える様子。
蜃気楼とともに春を表す言葉として用いられます。
昆虫の蜉蝣は、飛び方が陽炎のようにゆらゆらとしているところからその名がつけられたとされています。


春炬燵(はるこたつ)
春になって、ほとんど火を入れることがなくなりテーブルの代わりに使っている炬燵のこと。
冬の名残がありつつも、こたつを片づけないのんびりとした風情が感じられる言葉です。

春告鳥(はるつげどり)
ウグイスの別名です。
初めのうちは上手に鳴けなかったウグイスが、梅の花が咲き誇るころにはきれいに鳴けるようになって春を告げに来たと言われます。


山笑う(やまわらう)
早春から仲春にかけて、淡い緑に山がおおわれていく様子を表現したもの。
山全体が少しずつ明るく輝いていく様子を、笑うと表現するのは日本語ならではの感性ですね。

春田(はるだ)
苗を植える前の田んぼの状態を表現したもの。
田植えに備えて水を張ってある田んぼのことを表す場合が多いですが、水を引き込む前のレンゲソウが咲いている状態のことを言う場合もあります。

八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から数えて八十八日目にあたる日のこと。
五月の一日二日当たりになる。
種まきなどの農作業の繁忙期の始まりとなる、昔から農作業の節目の時期となっています。


季節を表す言葉は探しているだけでもとても楽しいですね。

山が笑うなどという言い方は思わず聞いた方も微笑んでしまうような表現ではないでしょうか。

今度は初夏か梅雨か、また探してみたいですね。


春のことば(1)もあります。