2013年5月21日火曜日

「行く」について

今回は日本語に興味を持ってもらうのに最適な言葉、「行く」について考えてみます。

ずっと前から私も気になっていましたが、皆さんはこの言葉をどう読みますか?

「イク」ですか、「ユク」ですか?


パソコンを使っている人は日本語の変換をしますよね、「行く」を出したいとき「イク」か「ユク」かどちらを使いますか?

ちなみの私のパソコンの日本語変換ソフトでやってみたら、「行く」は「イク」でも「ユク」でもどちらでも変換します。


実際口に出して発音にするときはどうですか?

はっきりと口を開けて発音する「アイウエオ」の「イ」で「イク」というよりも、「ユク」に近くありませんか?

語尾によっても変わりますよね。

「行った」「行って」は「イッタ」「イッテ」で「ユッタ」「ユッテ」とは言いませんね。

これ、やまとことばの発音の名残のようですよ。

また、聞くほうでも「イク」「ユク」どちらで話されても「行く」のことだと分かりますよね。


いろいろ考えたりしたんですが、どうも昔は「イ」と「ユ」の中間の音があったのではないかと考えるとうまくいきそうです。

基本的な動作を表す言葉ですから、漢語が入ってくる前からあったやまとことばであることは間違いないと思われます。

そんな昔の人が話すのに、一つの言葉(動作に)対して2つの音があったとは思えません。

五十音表をよく眺めてみると、「や」行は「や・ゆ・よ」の3つしかありませんよね。

国語の時間に初めて五十音表を見たときに、だれでも感じたはずの「なんでないの?」です。

ここに入るのは「や・・ゆ・・よ」だと教わりましたが、なんで書かれていないのかまでは忘れました。

あのきれいな五十音表がなんでここが抜けているのでしょうか?

もとはきちんとあったと考えるのがよさそうですね。

そして、「イ」と「エ」に近い音であったがゆえに「イ」と「エ」に吸収された。

同じもの(音)を表記しないようにしたために消えていった。

こう考えるのが妥当のようです。

そもそもここがないと五十音に足りないんですよね。
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50という音数からいうと「わ」行も必要になりますが、そこはこう考えています。

五十音よりも「いろは」の47文字(「ん」を含まず)のほうがむかしの音に近いのではないかと。

「や」行が5音でないと47音にならないのです。

そして「いろは」47音を表記した文献等で見ると、かくれていた「や」行の「イ」「エ」に当たる文字は「ゐ」と「ゑ」になるようです。

この字に当たるカタカナは「ヰ」「ヱ」だとされますので、音的にも合致します。

したがって、「行く」は「ゐく」「ヰク」だったと思われます。


日本語の母音は5つ「あ・い・う・え・お」です。

むかしは8つだったという説が有力なようですが、私は7つだと思っています。

いまの5つに「ゐ」「ゑ」の2つを加えたものです。

現在では音は残っていないのです。

英語でいう「エァ」と言う気持ち悪い二重母音みたいな音かもしれないです。

やまとことば独特の音だったのでしょう。

アルファベットで表記すると「yi」「ye」となるのでしょうね。

「あ・い・う・え・お」の音の並びに「や・ゐ・ゆ・ゑ・よ」を合わせてみると、何となくそれらしい音が聞こえてきませんか?