2013年9月2日月曜日

音声言語と文字言語

世界に存在する言語の数は5,000とも8,000とも言われています。

日本の中でも琉球語を日本語と区別する考え方もあり、きわめて曖昧な数ということができるでしょう。

その中で文字を持つものは約20%程度ではないかと言われています。

通常の場合は文字言語は音声言語から派生するために、音声言語を持たずに文字言語だけが存在することはあり得ません。

対応する音声言語が使用されることがなくなり死語となり、結果として文字言語のみが残ったということはありますが、文字言語のみで存在している言語はありません。

アイヌ語は文字を持たない言語です。


また、文字言語を持つ通常の言語は、音声言語と対応する文字言語の種類が一種類ですが、複数の文字言語を持つ言語が存在ます。

韓国・北朝鮮は漢字とハングル文字の2種類の表記文字を持っていますが、1970年より始まった漢字廃止政策によってハングルの一元表記へ移しました。

その結果、漢字文化の伝統が若い世代へ伝わらず、漢字復活の運動が起きており大問題となっています。

ベトナムでも独立後、漢字を廃止してアルファベットを利用した「クオック・グー」(国語の現地読み)に表記文字を統一してしまったために、漢字文化が途絶える危機となっています。


そんな中で、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類の表記文字を持つ日本語はきわめて特殊な存在となります。

しかも、純粋な漢字だけで漢文を書く人はほとんどいなくなったとはいえ、3種類の文字ともそれぞれ単独で音声言語を完全に表記することができるものです。

そんな文章は見ませんが、ローマ字(アルファベット)も日本語の音声言語を完全に表記することが可能ですので、その気になれば4種類の表記文字を持っているとも言えます。


私たちが現在使っている標準的な表記方法は漢字かな交じり表記です。

そこにカタカナとアルファベットで一部の言葉を表記したものを加えています。

また、最近では文章を書く機会が極めて少なくなっています。

文章を書くことが商売である作家や著作家も、ワープロやパソコンで自動的に漢字変換をしてしまうので、表記文字を意識して書いている人がほとんどいなくなりました。


思考は言語でなされます。

しかもその言語の基本は母語です。

母語として身についている言語に3種類の表記方法が含まれています。

同じ言葉を表記方法を変えてみただけで、かなり印象・ニュアンスが異なる場合があります。

世界が驚く日本人の発想の原点はこんなところにもあるのかもしれませんね。


漢語導入によって中国文化から学んだものの成り立ちや意義の感覚と、ヨーロッパ文化から学んだ物質としてのとらえ方や論理性がすべて言語の中に取り込まれています。

さらに古来よりの日本独特な自然との共生や感受性がまでが取り込まれているこの言語は、世界最強の言語ということが可能だと思います。


更にこの国には、文字として先進文明国の知識を取り込んできた歴史があります。

あらゆる分野を含めて、日本語に翻訳されている本だけで世界中の知恵を学ぶことができます。

中国・韓国やインドの学生が日本を一番うらやましく思うのがこのことです。

最高学府での最先端の講義や研究が母語で実施できることは、その国の文化度を測る大きな材料です。

日本に留学すれば世界中の知識が学べることが、彼らが日本語を学ぶ一つのきっかけになっているようです。

こういったことは私たちの日本人が一番知らないことなのかもしれないですね。


世界最高の言語と知識。

これをもっていて私たちたちは何をするのでしょうか?
何をしたいのでしょうか?

ゆっくり考えてみる必要がありそうですね。

世界最強の言語を駆使して。