また少し肌寒い日が続いていますね。
春が足踏みしている感じです。
春を表す言葉には、聞いただけでウキウキするものややっと厳しい寒さを越えた喜びを表すものなどがありますね。
日本人の感性らしいものをいくつか集めてみました。
暑さ寒さも彼岸まで、三寒四温などの定番ものもありますが、気持ちだけでも先取りしておきましょうか。
冬の言葉を使いながらも、暖かくなってきた春を表すものから見ていってみましょう。
魚氷に上る(うおひにのぼる)
氷の割れ目から魚が飛び出して氷の上に乗ってしまう、と言う意味ですね。
俳句などではよく使われます。
生き物が動き始めることと、氷が割れたり薄くなったりということが、短い言葉で両方扱われている表現です。
普段のことばではあまり使わないですね。
薄氷(うすらい)
冬から春にかけて氷が薄くなってきたという意味よりも、春になったのにまた薄く氷が張っているという多少怨みがかった表現となりますね。
後から出てくるの「余寒」と同じように、暦の上では春になっているのに、まだ寒い日があるときなどに使われる表現ですね。
凍解(いてどけ)
音がいいですね。
「とうかい」と読むこともできますが、「いてどけ」と訓読みにすることによって雰囲気がよく伝わります。
それまで凍っていたものがいたるところで解放されることを表現したものです。
余寒(よかん)
余った寒さとは何とも日本らしい表現だと思います。
残った寒さと(残寒)となると、まだ冬の終わりで春遠い感じになりますが、余寒となるとすでに春なのにまだ寒さが来るのかという感じが伝わります。
啓蟄(けいちつ)
二十四節気の一つです。
季節を表す言葉は訓読みが多い中で、二十四節気は音読みばかりです。
今の季節感で言うと3月6日ごろに当たるのでしょうか、今年は3月5日になるようです。
冬眠から覚めた昆虫たちがモゾモゾと穴から這い出ることです。
このころに鳴る雷のことを「虫だしの雷」と呼んだりしています。
ものの芽(もののめ)
木の芽や草の芽の具体的なものではなく、色々な芽の総称となります。
枯野が何となく新芽がかって見えてきたり、芽吹きを誘うような風や雨を含めてこの季節を表す言葉です。
下萌(したもえ)
早春の表現ですね。
枯草や残雪の中から草がわずかに顔を出している様子を表現したものです。
見た目は冬が残っているけれども、その下では春が始まっているという感じが伝わってきますね。
春寒(はるさむ)
春という言葉には大きな力があります。
春という文字が入っていると、続く言葉が厳しい言葉であっても何となくほっとしてしまいますね。
東風(こち)
有名な言葉ですね、「東風吹かば 匂いおこせよ ・・・」で覚えている人も多いのではないでしょうか。
春に吹く東からの暖かさを含んだ風のことですね。
如月(きさらぎ)
陰暦の2月の呼び方ですね。
語源はいろいろありますが、「衣更着」が一番風情があるものではないでしょうか。
まだ寒かったので、何枚も重ね着をしてしまったという感じでしょうね。
早い春の表現を中心に拾ってみました。
もうしばらくして、いろいろな花が開き始めると朧(おぼろ)や雲・雨・月などにも暖かさを感じられるようになりますね。
鳥の声なども春を表す言葉として登場してきます。
私の好きな表現に「風ひかる」というのがあります。
生き物や自然の動きが活発になって行ってキラキラしてくる感じがいいですね。
もうすぐです。
春のことば(2)もありますよ。